落武者
Etuji

夢と過ぎた城をぬける
荒れた田畑を
古い鎧が肩におもい
切り捨てた刀身の血のりは
悔いの闇
あるいは
執着の炎
生きるために
切り捨てたのだ
畦のむこう
暗い林のかなたへ
ゆるやかに陽がのぼる
なおも
安息を拒むのは
わずかに残る
滅びへの
恐れのためか。


自由詩 落武者 Copyright Etuji 2008-07-17 21:01:03
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