湖
ふるる
湖にボートで乗っかり
ゆっくり漕いでいく
メロンゼリーを思い出す
地球の穴にメロンゼリー
ボートのスプンですくう
目の前にかわいい女の子が
座っていたらいいなあ
僕が冗談を言って
その子はさくらんぼみたいに笑う
二人は付き合い始めて一周年で
いや、結婚一周年でもいいや
何だったら五十周年でも
この湖でデートしたねって言い合う
あの時、こんなこと思っていたんだよ、とか
知らなかったわ、とか
魚の小さい黒い影がすっすと過ぎる
光は眩しくて目を細めずにはいられない
鳥の鳴く声もする
水鳥はいいよ
親子ですいすいって
この湖は、家族で来た
地球の穴にメロンゼリー
ボートのスプン
その中に父さんと母さんと僕
ごめん、まだ彼女もいないし
家族なんてほど遠い望み
でもなんか
湖にいたりすると
そんなこと、どうでもよくなっちゃうんだよなあ