ふるる

湖にボートで乗っかり
ゆっくり漕いでいく

メロンゼリーを思い出す
地球の穴にメロンゼリー
ボートのスプンですくう

目の前にかわいい女の子が
座っていたらいいなあ
僕が冗談を言って
その子はさくらんぼみたいに笑う

二人は付き合い始めて一周年で
いや、結婚一周年でもいいや
何だったら五十周年でも
この湖でデートしたねって言い合う
あの時、こんなこと思っていたんだよ、とか
知らなかったわ、とか

魚の小さい黒い影がすっすと過ぎる
光は眩しくて目を細めずにはいられない
鳥の鳴く声もする

水鳥はいいよ
親子ですいすいって

この湖は、家族で来た

地球の穴にメロンゼリー
ボートのスプン
その中に父さんと母さんと僕

ごめん、まだ彼女もいないし
家族なんてほど遠い望み

でもなんか
湖にいたりすると
そんなこと、どうでもよくなっちゃうんだよなあ


自由詩Copyright ふるる 2008-07-17 10:57:22
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