一瞬の夏
yo-yo

コップの中に
朝が残った
醒めきらないままの
水を分けあって
ぼくらはターンする

魚のかたちをして
水がうごく
きらめき降りそそぐ
夏のはじまり

ゆっくり水際を
泳いでゆくだろう
ちいさな魚だ

ぼくの夏を跳びこえて
きみの夏を侵食する
やわらかい鰭のさきで
魚は回想する

草となり
ただ草となる
それだけの
夏があることを

ふたたび分けあう
指と指を
背中と背中を
サングラスの空と海を

そして夏は
一瞬の雲を染めて
空にはじける
水となって魚は
ひとつの夏のままで
終わり始まる




自由詩 一瞬の夏 Copyright yo-yo 2008-07-17 06:05:18
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