黄色い蝶1
あすくれかおす



キャバレー「黄色い蝶」は

今日も大入り満員で

汀ではしゃぐ少女のような女達が

にゃあにゃあ落ち着かない心持を

笑い飛ばすように過ごしている

 

どこから来たのわたしは?

なぜここにいるのわたしは?

そういうことばかりぶつくさ言ってるうちに

みんなみんな疲れ果ててしまって

あの日にやるべきだった「夏休みの友」を

いまだに引きずっているのである
 


キャバレー「黄色い蝶」は

いつだって私みたいな捨て猫の生まれ故郷だし

キャバレーの人たちはみんな豪奢な性格ばかりだけど

本当は皆マジメなのだ

宿題をさぼることに嫌気がさしたから

別の方法論で今 「夏休みの友」を取り組んでいるところ
 



結局のところ馬鹿をみるのは自分だし

自分だったし

その馬鹿を誰かにみせるような商売をしていると

馬鹿を見る馬鹿

それがそっくり見えるから素敵だ


実のところこれがキャバレーに住む猫たちの方法論

こうして毎晩 漢字ドリルに算数ドリル

かつての世界に置いてきてしまった気持ちを

取り戻しているところなんだ
 


多くのひとは

あの宿題がどんなにだいじだったか

気づいていない

正確にいえば

あの宿題と一緒に

夏休みを過ごす意味

 

キャバレーに棲む人々はみんな

ひらひら ふらふらとやってきた蝶と同じ

道の途中で捨て猫どうぜんの人生を暮らしてたから

10年以上前の少女時代と同じように

今の暮らしを確かめようとしてるんだ
 


♪アップライト
 
 ダウンライト

 またたび いっきょく

 どちらさんも
 
 このさき

 ひらひら

 ふらふら

 どこかへ 

 いってしまうまえに

 アップライト

 ダウンライト

 またたび 

 おいかけて 









自由詩 黄色い蝶1 Copyright あすくれかおす 2008-07-16 13:28:22
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