頭を打って、忘れたいこと
猫のひたい撫でるたま子

私たちは出会って、
分かり合えなくて、
すっぽかされて、
嫌いあって、
残るものがあって、
もう近づかないときめて、
夏が終わった

再会して、
また寿司を食べ、ビールを飲んで、
あなたの為に絵をかいた、
あなたを描いた、
わたしを欠いた、
あなたも血の通った人間で、
病室の余白が私をただの女にした、
壁やあなたに同化したわたしは見えなくなってしまった、
あなたの涙で狂っていった、
わたしがあなたになってしまって、わたしはもういない

あなたは記憶喪失になってしまいたいと呟くから、

わたしは忘れていたことを思い出した


自由詩 頭を打って、忘れたいこと Copyright 猫のひたい撫でるたま子 2008-07-16 03:56:09
notebook Home 戻る  過去 未来