【Child Ark】
檻野楴人






六畳間に生まれた神様は



畳の上に磔になったふりで



やる気なく、夢見心地で



未来のことなど、考えている



それはもう、とてつもなく



未来のことを考えているのだろう





大人になった子供たちを見送り



座敷部屋はひっそりと黙りこんだまま



もう、帰ることのない



子供たちの優しい思い出と供に



ありもしない



いや、かつてはあったであろう



夢ばかりをみている



それはもう、夢ばかりをみているのだろう





いつからか



どこでかわってしまったのか



わからなくなった



どこでまちがってしまったのか



ずれたところが



わからなくて



おもいだせなくて



てをのばせばとどくのか



じぶんとゆめとの



きょりかんはまるでなく



いまはもう



おとなになれたのかも



わからない





ただ、しずかなじかんが



おもいだしたように



すぎては、きえては、いなくなって



もう、みえていたものも


みえなくなってしまった





いまもまだ



どこか遠い国で



こどもだったぼくたちは



しずかにいきづいているのだろうか



いまもまだ



六畳間の神様の目には



ぼんやりとした未来が



うつっているのだろうか





もう、いつからか



それをみることさえ



それにてをのばす方法さえ



わからなくなって



いまはただ



自分の身の丈を知るための



ぼんやりとした



天井ばかりが見えるようになった





六畳間には生活だけがある



わかりきっているのに



うけとめられない



こどもだったぼくたちが



どこかにいるのなら






携帯写真+詩 【Child Ark】 Copyright 檻野楴人 2008-07-16 01:04:02
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