踊れ胎児
因子

お医者に、
おめでたです と言われ
はあ。と答える私。
父親は誰だろう。パパかな。
そうのんびりと考えを巡らしていると、はい、とお医者から胎児を手渡された。
胎児には臍の緒と胎盤がついている。



ぬらぬらとピンク色の、肉のさかな
ちいさな太鼓がてのひらで鳴る
とくん、
と。



みるみるうちに胎児は手やら足やらを生やし、少し大きくなり、どうやらしっぽも消えている。
嬉しくなって家に帰ろうとしたのだけれど、リュックサックに仕舞って持って帰ったら、他の荷物の下敷きになって途中で胎児は潰れてしまった。
わたしはどうしようもなくかなしくなった。







(目を開けて体を起こして、布団が見たことのない色に汚れていて、)
(私はようやく初潮がきたことを知った。)


自由詩 踊れ胎児 Copyright 因子 2008-07-15 21:29:16
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