小川
ふるる

昨日喧嘩した彼女と小川へ
蒸し暑い中で何時間
喧嘩したっけ
汗をかきながら

小川は澄んでいて
透明な絹が川底の小石をなでているみたい
彼女の足の指はまるで
ボタンに見える
きれいに並んで
何かされるのを、待っている

僕ら無言で足を水にひたし
時々しぶきをあげる
しぶきはきらきらする小さな石
散らばり
またすぐ流れに溶け込んで
風に揺すられる緑の影
僕らを覗きこむ
なんにもしていないのに

どうせ僕が謝るんだけど
タイミングをよく狙わなくちゃならない
あれと一緒さ
フライフィッシング

さっと竿を振ると
金色の朝日を受けた釣り糸が
空中に曲線を描き
疑似餌はちいさな虫を真似て
水面すれすれを飛ぶ

魚がくるタイミングを計りながら
落ち着いて竿を振る

川面に写る白い雲
そっとしておいてくれ
僕がタイミングを逃さないように

それから


彼女はちょっとにこっとしてふりむいて、
僕は




自由詩 小川 Copyright ふるる 2008-07-14 23:37:51
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