「星越峠」
たりぽん(大理 奔)

出張帰りのいつもの近道
車を走らせると道は
その先で
星空に切り取られる
そこが星越峠
たどるたびに
僕は宇宙から帰還する

    会えない夜は輪郭を想う
    あなたのかたちが寂しくて
    小さく暗い星ばかりを結ぶ

    汚い言葉でねじ曲げなくても
    透明な屈折率が
    遠い光を届けてくれる
    遙か彼方を目指すなら
    僕はもっと透明に
    とうめいにならなくっちゃいけない

三日ぶりの出張帰り
星越峠を越えると
小さな街灯りが
ヒアデスのようにきらめく
僕が結んだ小さい星に
胸、高鳴りながら





自由詩 「星越峠」 Copyright たりぽん(大理 奔) 2008-07-09 23:36:55
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