「星越峠」
たりぽん(大理 奔)
出張帰りのいつもの近道
車を走らせると道は
その先で
星空に切り取られる
そこが星越峠
たどるたびに
僕は宇宙から帰還する
会えない夜は輪郭を想う
あなたのかたちが寂しくて
小さく暗い星ばかりを結ぶ
汚い言葉でねじ曲げなくても
透明な屈折率が
遠い光を届けてくれる
遙か彼方を目指すなら
僕はもっと透明に
とうめいにならなくっちゃいけない
三日ぶりの出張帰り
星越峠を越えると
小さな街灯りが
ヒアデスのようにきらめく
僕が結んだ小さい星に
胸、高鳴りながら
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私的星座盤