創書日和「扉」  open/close
逢坂桜


いまにして思えば、いつも扉があった。

あの夜、鍵が開かない扉を見つめ、
電灯が射す、コンクリートの壁を覚えてる。

誰にも触れられたくなくて、
扉の前に、本棚を移動させた夜。

外に出て行く物音を扉越しに聴いて、
顔をゆがめて泣きそうになった朝。

そして・・・

扉を開けたら、
あなたがいた、冬の日。

いくつもの扉を開け、
いくつもの扉を閉め、
わたしはここに立っている。

あなたの隣に、立っている。

これからは、
ふたりで扉を開けて、
ふたりで扉をくぐり、
ふたりで扉を閉める。

そしてまた、新たな扉の前に立つ。

それが「ふたりで生きていく」こと。

「扉」を恐れず、歩んでいこう。


自由詩 創書日和「扉」  open/close Copyright 逢坂桜 2008-06-28 09:04:31
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染めしおもいで