ビスケットボール3
モリマサ公

顔のないつるっとした人たちがふいにに笑う声
風に巻き上がるコンビニ袋の不確かさで
枯れていく音があらゆる角度から無数にする
家と家のすきまでまぶたを閉じる
足元のアスファルトがめくれてくる
肉のような白い雲の腹が空を覆って
風車がまわる
くり返しビスケットを差し出し
ポケットティッシュでなんどもあったかい方の用を足し
俺たちは今それぞれの場所で死んでいく人々の事を
確実に思いながら
ひんやりとした腕でちぢれた水平線を眺め
水たまりに自分を映してふみつけては粉々に砕く
やわらかい
ポッケのなかの土砂崩れ
あがる花火とのろし
依存と活用
スローセックス
みんな死んで欲しい
洗濯物が垂直にたれさがり生乾き
頭の裏がわが
孤独すぎてかゆい
葉っぱたちの裏に小さな虫が這い呼吸して
毛穴がいっせいにみんな開く
ことばは染み付いた壁や布からにじみでて
バケツの水をかぶり
体の中央のおおきな空洞を埋めようと
人を飲み込み
はずみながらおりていく粒
音がまつげの隙間からする
扉がとじるたびに
目玉たちがやわらかく腐り
月の作る影に足首が落ちる


自由詩 ビスケットボール3 Copyright モリマサ公 2008-06-27 17:30:35
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