時の青玉
こしごえ


真っ青な血脈の層が 極限のうすさではりつめ
未到の境地が 静脈を経過しながら
うつらうつらと沈静していき やがてそらへと
暗く澄んでゆくのです。

架空層の仄暗いうちがわにある
華の蒼く群生する原野の丘で
純真のむき出している
心臓が、清浄な冷酷にあふれ 、静止
する未来像
悲しみの空をつかむ 陰影に
一条のひかりのさしこむ、歩み去る仄暗き重さ

失ってしまうだろうつながりを
空ろな視線にさしつらぬく
拍動するエナジーのゆくえを
こけむした小石にとおく刻みこんで眠る
蒼くかすむ華にうずもれて

(酷く澄んだ血流と、あいたい、
と凝(じ)っとしているかたさに
きりさめがしとり、と濡れる日もあるのです)

その石の暗いないぶの遠さは
私の影のつかむことの出来ない質量であり
あおい血をしげらせる華でもある
そのかたさはずっとのぼりつづける恩光の音階
そして影はずっと濃くなり重くなる

目をあけ放ち眠るあさ瀬が
ふしょくの不在で瞑色にとけて、、。
この地上をあるいていた者として
いつかあおむけに咲きほころび
未成熟なきずへとささやいていよう

開花の予兆が沿岸を
耳をかしげつつたたずみ
そょ とゆれる草陰のあるちいさな墓石が
つっ とやわらかにざらついてひんやりとしており
まなざしのみは 波紋の一つも浮きはせぬ
ゆび先でそっ、とふれると
黒く薫る土のもとで(しっとりとした肌の、
つめたぁいしゅるしゅるとしたながさの影がうごめいて
いるすべてが静寂にかえるまで

終ぞ無い 、
時よ来れよ







※ 青玉(せいぎょく)= ?サファイアの漢名。?竹の異称。




自由詩 時の青玉 Copyright こしごえ 2008-06-16 10:26:20
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