きらびやかな兆候
塔野夏子

観測所には誰が居るんだ?
あの夜に僕らがはじめて気づいた
色とりどりの破綻は
今もまだつづいているんだ
君のあるいは君たちのともした火
砂漠の向こうから送られるシグナル
忘れられた庭園の扉
はじまりが終わりを
それとも終わりがはじまりを
追いかけて追いかけて
形を変えつづけるパズルを
それでも解きつづけていたいんだ
理想的なモザイクの夢
森じゅうをざわめかせる風
あの夜にはじめて気づいたのは何?
君のあるいは君たちの咲かせた薔薇
ゆるやかにひらく夜明けの瞳
紫の雨をまとって行きすぎる影
色とりどりの破綻は
あらゆるところに巣喰っているんだ
観測所にはいったい今誰が居るんだ?
覚醒が眠りを
それとも眠りが覚醒を
追いかけて追いかけて
形を変えつづける奇跡を
それでも待ちつづけていたいんだ
海のうえにあらわれては消える帆
痙攣する虹の群れ
君のあるいは君たちの撒いた星
そのきらめく痛みが今も身体じゅうに
刺さって消えない


自由詩 きらびやかな兆候 Copyright 塔野夏子 2008-06-13 20:51:53
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