雲間の月 
服部 剛

会議をサボッて 
帰りに寄った
夜の教習所

開いた
校舎の窓 

路上運転までの
待ち時間に見下ろす 
校内コースを 
のろのろ走る 
初心者運転者達 

あれは日中の僕だ 

好き勝手な
ことばかり言う人々の 
くだらない言葉に 
硬く心を閉ざした 

ちっぽけな小石の僕だ

「正しさ」なんかない場所で 
「正しく」なんかいたくない 

イヤフォンから聞くのは 
気骨な男が唄う「33」 


 青年とオヤジの間を 
 抗いながら歩いてる   *  


僕は只 
夜の教習所の
窓辺に凭れ 

吹き込む夜風に 
身を巻かれ 

職場の群から逸れた 
「独り」 
を研ぎ澄ます 

仰いだ夜空に流れる 
雲に隠れた 
あの 
一匹の月のように 





   * HEATWAVE「LONG LONG WAY」
    (polydor)に収録の「33」の歌詞を
    引用しました。 





自由詩 雲間の月  Copyright 服部 剛 2008-06-11 23:37:44
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