雲間の月
服部 剛
会議をサボッて
帰りに寄った
夜の教習所
開いた
校舎の窓
路上運転までの
待ち時間に見下ろす
校内コースを
のろのろ走る
初心者運転者達
あれは日中の僕だ
好き勝手な
ことばかり言う人々の
くだらない言葉に
硬く心を閉ざした
ちっぽけな小石の僕だ
「正しさ」なんかない場所で
「正しく」なんかいたくない
イヤフォンから聞くのは
気骨な男が唄う「33」
青年とオヤジの間を
抗いながら歩いてる *
僕は只
夜の教習所の
窓辺に凭れ
吹き込む夜風に
身を巻かれ
職場の群から逸れた
「独り」
を研ぎ澄ます
仰いだ夜空に流れる
雲に隠れた
あの
一匹の月のように
* HEATWAVE「LONG LONG WAY」
(polydor)に収録の「33」の歌詞を
引用しました。