水底
北村 守通

蒼く濁った
水の下
虹色オイルの
カァテンの下


潜行すること
五メートル
潜行すること
十メートル


真っ黒な海底に到着す
真っ黒な海底に到着す


光わずか
音かすか
限りある空は
限りなくひろがっていよう
砂嵐にもまれて
漂っていよう
あの白いビニルのように

されど
泣きすがる手が
足を捉え
自由を奪って
泣きすがる


絡んだテグス
そっと取り
脅かさぬように
そっと
胸に引き寄せる


すると
見渡せば
更なる
更なる
水子の群れが

泣いている
泣いている


黒い水底で
泣いている


自由詩 水底 Copyright 北村 守通 2008-06-10 12:05:56
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