壁紙
1486 106

西日で赤く染まる部屋
山積みになった段ボール
いつまでも整理できない気持ちを
そのまま比喩しているみたい

壁紙だけは張り替えた
凹みも汚れもすべて塞いだ
傷の場所を覚えているのは
私以外この部屋にはいない

忘れようともがくのは
負けてるみたいで何だか悔しい
日付が明日に変わるように
自然にすべてが変わればいいのに


いっそ引っ越し屋と恋に落ちて
アイツに自慢してやろうかな
だけど何かと比較してしまう
私はアイツを捨てきれていない

壁紙だけは張り替えた
凹みも汚れもすべて塞いだ
傷の場所を覚えているのは
もう私以外誰もいない

忘れようともがくのは
溺れてるみたいで何だか悲しい
日付が昨日に戻せないように
失ったものは取り戻せない


壁紙は剥がしたくない
まだ部屋は片付けたくない
凹みや汚れは塞いだだけ
傷跡が消えたわけじゃない

忘れようともがいてしまう
悔しいけど私の負けみたい
今頃アイツはどこかの綺麗な部屋で
誰かと幸せに暮らしているんだろう

忘れようともがくたび
アイツのことを思い出す
朝日が部屋を包み込むように
自然に笑顔になれたらいいのに


自由詩 壁紙 Copyright 1486 106 2008-06-09 17:47:57
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