「三丁目の奥手さん」
ベンジャミン

郵便屋さんの原付バイクが
通り過ぎるか過ぎないかで
外に出るかどうか決めるような私です

一丁目の角を曲がると犬がいて
それがギャンギャン吠えるものだから
いまどのへんにいるのかわかります

二丁目の角の家には郵便受けがないので
呼び鈴を何回か鳴らすようにしているらしく
いまどのへんにいるのかわかります

そうなると私は耳をすませて
原付バイクの音が通り過ぎるかどうか
ただそのことだけに集中して
耳をダンボみたいに広げているのです

ドゥドゥドゥドゥドゥッって
玄関先で止まるのを期待して

ドキドキドキドキドキ待って
郵便屋さんが郵便受けに
コトリと何かを入れるのを
私は待っているのです

電子機械が発達して
手紙とかアナログなものって減って
それって何だか淋しいなって思うから

だけど私は奥手なので
上手な手紙も書けませんけれども
せっせとあてどなく手紙を書いては
あなたに送っています

こうして

そしてあなたからの返事がくることを
耳をすませて待っているのです




かしこ
   


自由詩 「三丁目の奥手さん」 Copyright ベンジャミン 2008-06-07 00:25:18
notebook Home 戻る