雨粒の味
蒼木りん

真夏が来る前の灰色の空
遠い国で大きな被害があったとか
あの雲くらいの場所に行けば
世間も恋しくなるだろうに
今は過去が結んだ果て

近頃といえば
だれもわかっていないと
感じることくらいの毎日で
みんなも自分だけがと
思っていて
そんな
同情を欲する人には
同情したくなくて
だけどガラス越しの君とは
じゃれていたいのに
邪魔ばかり

雨粒の味

何が欲しいんだろう
護るものは手放したくないのに
片手で闇を弄ってる
求めなければ
苦しくもないのに
みんなは
傷つけられたくない臆病者
私は何がわかってるんだろう
卑怯者なだけじゃないか
気づいても今さら
曇り空

太陽の光を浴びると
バターみたいに溶けてしまうから
蛍のような薄明かりな場所で
愛し合うことを夢見てる
わたしと潔癖の君

あっちの水は苦いから



自由詩 雨粒の味 Copyright 蒼木りん 2008-06-06 09:19:22
notebook Home 戻る