水蜜桃
月下美人

桃の心臓をかちりと割ると
滴り落ちるのは
椿の深い唐紅花の唇
涙より沁みるのは
歯茎から抜けない
本心の建前
みずみずしく透き通るのは
海に砕けた夏の記憶
恋の夜にかおるほのかな残夢
甘やかな余韻に
ゆびさきから痺れて
またひと齧り

あなたを、壊す


              ―――--*


自由詩 水蜜桃 Copyright 月下美人 2008-06-04 20:33:46
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