シュガースポット
nm6

 
 
 
 
線をまたぎます。季節も七夕をすぎれば夜のための日々が延々と続くのです。アスファルト、アスファルト、きみは熱という熱を呼吸していますか?と話しかけてはこのマンホールのように丸い月がさようならの顔をして、くらりと動揺するのはぼくだけなんだとか思うのです。生温いのは肌触りで、ふかふか浮かぶ水分にからかわれているような按配のひとり人間の徒歩。このこんがらがった絡まりのなかを緻密に、通り越すのではなくつきぬけるための、そう裏技を。


丸い月のさようならが俯瞰する暗がりにスポット、スポット。
見えない線が勢い堰いては、互い違いのビート打つよ。




線をまたぎます。混乱も沸点をすぎれば夜のための日々が延々と続くのです。アスファルトは呼吸しています。きみは安らかに夢うつつですか?と妄想でリピートしてはこの信号の黄のように丸い月がさようならの顔をして、するりと酩酊するまで時は流れるよとか思うのです。狂おしいのも肌触りで、ゆらゆらじめる熱気に持ち上げられているような按配のひとり人間の徒歩。このこんがらがった絡まりを、えい、えい。振り向かずつきぬけるための裏技を、そう裏技を。


信号の黄のさようならが傍観する交通にスポット、スポット。
ぼくらにはびこる病的な斑点は反転してそれはもう、とてもとても甘美だよ。





線をまたぎます。
またぎ続ける毎日を、ふわっと飛び越えゆきます。
こうして、かがんで、この道の重心から裏側を覗いてみるので、
気づいたら朝焼けに、染まれば開け放つ窓にいまだ通り過ぎる寝息。
スポット。世界はもう朝で、スポット。
そうぼくらは、いよいよ甘美だ。


自由詩 シュガースポット Copyright nm6 2004-07-11 13:08:21
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