rabbitfighter

僕達は容易に 
たくさんのものを失ってしまう
取り戻す事のできないものですら

時計はその時を
刻み付けたまま沈黙している
瞼の裏に
残響だけを刻み付けて

無くなってしまったものを
僕は知らない
この街で産まれた
新しい子供達と同様に
過去は語りかけてはこないのだ

市庁舎の窓から灯を見下ろしていた
公園を、ビルを、市場を、
人工島を、山を、港を、 
まだまだ見える
もっと遠くまで、ずっとずっと先のほうまで
新しい命が、次々と産まれている
世界中から人々がやってきている
絶えまなく、絶えまなく

無くなったものたちよ聞こえるだろうか
この街のざわめきが聞こえるだろうか
その中にいるのだ
確かに、あなた達も
その中にいるのだ


自由詩Copyright rabbitfighter 2008-05-20 05:20:22
notebook Home