草野春心



  白い砂漠にきみが一人立っていて
  目の前には無数の一人が立っていて
  言葉も無くきみを問いつめる



  詩人らしき男がきみの昨日を責め
  破れたジーンズがきみの怠惰を責める
  ハートのプリントがきみの明日を疑い
  中国の子どもたちは?
  そう、黙っているだけ



  きみは目を閉じることを許されず
  思考が反射的に変換作業を行い
  彼らをただの「1」と扱うのだが
  存在そのものが時に暴力になることに
  きみはもっと早く気づくべきだったのだ



  ところは変わって休日の池袋東口
  雨のように人は降りつづけ
  きみはきみはきみはきみはきみは……
  きみは傘を差すだろう



自由詩Copyright 草野春心 2008-05-18 22:28:42
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