線路の向こう
1486 106

等間隔に敷き詰められた枕木
地平線の彼方揺らぐ陽炎
線路を辿り旅する二人
汽車とはしばらくすれ違っていない
水筒の中身は空っぽ
乾いた地面にしみ込む汗
サボテンの森からはコヨーテの唸り声
手招きする骸骨の誘惑
リュックの中から缶詰を取出し
残り少ない食料を分け合う
会話をする気力も無いまま
破れた地図だけをを手がかりに進む

「線路の向こうには何があるの?」
「わからない。」
「あとどれくらい歩けば辿り着くの?」
「わからない。」
「どうして僕達は旅をしているの?」
「…。」

次の分岐点で二人は別れた
一人は町へ戻る駅を探しに
もう一人は諦められずに
線路の向こうを目指し歩き出した
やがて砂漠には何ヵ月ぶりかの雨が降り
雲の切れ間からハゲタカの群がる屍を
嘲笑うかのように太陽は照らしていた


自由詩 線路の向こう Copyright 1486 106 2008-05-14 16:52:37
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