あの水平線まで
風音

思いつめていた
ぼくは

天界と地上を
さまよう
こころの中で

これ以上は
もう
これ以上は

猫は
ぼくのそばを
離れない

死の匂いを
嗅ぎとって

窓からは
ジャスミンの
濃厚な香り

思いつめていた
ぼくは

駅へと向かう

ここではない
もっと
遠くへ

続く
町並み
町並み
町並み

乗降客
乗降客
乗降客

どこへ行く
電車なのだろう
これは

遠く
海が見えた
気がした

思いつめていたものが
不意に
解き放たれていく

ああ
とりあえずは
あの
水平線を目指して

歩こう

そこに
なにもなくても

とりあえずは
歩いてみよう


自由詩 あの水平線まで Copyright 風音 2008-05-08 19:55:58
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