ツォルキン・ステップ
たりぽん(大理 奔)

海岸線のガードレールでもなく
尾根を越えていく高圧線でもない
届こうとするものは
いつも不完全で ただ
どこか、まで続いていく

アルシオネの円周でも
火星が結ぶ軌道でもない
繰り返すものは
どこにも届かなくて
ただ永遠に似ている

バクトゥン 
カトゥン
トゥン
ウィナル
キン

流れ星は
燃え尽きるときに強く輝く
辿ってきた遠いとおい
孤独のみちのり、それは
円周によく似た未完成
届こうとする場所にうち寄せる
太古の波紋もまだ
うち寄せる波に含まれて

不完全で未完成で
遙かに繰り返すもの
私はどこにいるのだろう

呪文のように数える
何かが始まった日に繋がり
砂のように砕けるまで

バクトゥン 
カトゥン
トゥン
ウィナル
キン

眠りは夜に似て
夜はまぶたに似る
毎日はフラクタルで
いつでも始まることができる
どこにも届かなくても
問い続けるだろう
どこにいるか
どこにいるか、と
越えていく、高圧線のようではなく
風に吹かれながら
星をまといながら
ただ
未完成のまま
越えていく






自由詩 ツォルキン・ステップ Copyright たりぽん(大理 奔) 2008-05-06 00:49:24
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