朝の烏
いとう




君に語る言葉が見つからないので
女を買った
入浴料1万円
サービス料2万5千円
女と談笑する
女と語る言葉はある
女に伝わる言葉はある

路上で浮遊している
誰か轢かれないかなと思う
誰も轢かれないけれど
誰か死なないかなと思う
誰もが女たちと語り合う
君に語る言葉が見つからない
俺が死んでもいいと思う

ひとつ気付いたこと
朝の烏はよく鳴く
うるさいくらい鳴く
誰と語ることもなく
烏たちは鳴く

女は声を上げる
挿入すると声を上げる
サービス料2万5千円の
声を上げる
君に語る言葉が見つからない
君に語る言葉が見つからない
食欲がない
でも食べる
君に語る言葉のために
女も買う
メシも食う
君に語る言葉が見つからない
その隣で浮浪者が糞をしている
烏が鳴く





未詩・独白 朝の烏 Copyright いとう 2004-07-07 00:38:48
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