雨鏡
砂木
雨の落ちていく時
私の足音と同じ
ぱしゃりとつながるのが
みえそうな気がして
喜びというものに
出会えたらいいと
信号が車を止めるという
決まりきった約束だけに
心のすべてを捧げていた
雨が落ちていく時
雨音は誰のものでもなく
降り立つ事を許さないで
崩れたものだけが染み込んで
羽を持つ事をとりあげた土が
重さからしか開かない
柔らかな道草
ひざまずくように
天に伸ばし
鏡には映らない
雷が黒い髪をやさしくほどく
もう 並んで歩く事のない
白い線 黒い線
雨が落ちていく時
着こうとして
通り抜けていない事に
どうか私が気づいて
とどまりませんように
みえそうな気がするという事に
さとされたりなんかしないから
喜びというものに
時が落ちていく雨に