ふりふりなひと
恋月 ぴの
ゴスロリっていうのかな
そんなフリルのたくさん付いた服
一度くらい着てみたいけど
「おばさんの癖して…」
あなたに言わてしまいそうだし
そんなの着れる歳じゃないことぐらい判っている
ふりふりのお洋服
着れないかわりにいろんなふりをしているよ
おとなしいふり
協調性のあるふり
つつましやかなふり
それから
あなたを立てる賢いおんなのふり
もしかすると、死んだのに生きてるふりしていたりして
ちょこんと乗せたヘッドドレス
球体関節人形の瞳みたいに
果てしなく澄んでいて
血に餓えた花束の匂いがする
ほんとのわたしって誰なんだろうね
どこの誰だろうと構わないけど
ふりふりのふりふりは
ふりふりで
ふりふりのふりふりは
ふりふりだから
自分探しの旅をする気なんて
はなから持ち合わせているはずもなく
わたしって存在のふりをして生きる