ながれたそうめんあつめていった
こもん




棺桶をひとつふたつと数えてもわたしの居場所なんてなかった


しばらくは神様なんていらないと口笛ばかりふいていた夜


爪先をそろえて眠るあかるさにあたりいちめん洗われていく


愛してるうしろめたいと夜にだけかさねるもののありふれ方で


風が吹くリアリティとかあるのならほどいた髪もなびくだろうな


細長く愛していくと指のさき音楽室でピアノが燃える


血飛沫を見つめています雪が降りあたりいちめんあたりいちめん


新しいきみの横顔見つけたと雪をまるめて投げつけてみる


そうめんを流していってこれからもずっとそうめんは流れていって


泣き笑い月夜になると酔っ払い小舟を浮かべ溺れて死んで


かくれんぼきみをみつける気はないのそのままずっとそこで泣いてて


かみなりがなっているから帰れないわけじゃないですそうじゃないです


きらきらのまぶしい夜ねどうするねこのままずっとどうかしてたい


朝方に開けっぱなしのドアがあり失ったもの失ったまま


いつまでも遅延していくうたうたい終われないままきみは死んでく


「アラビヤ」を「暴夜」と書くということの幻だけが輝いている


自販機を壊したいのとバールもつきみのスカート風にひらひら


いもうとは月にそむいた罰として睡眠不足の刑に処されて


天空の城ラピュタから舞い降りましたとリストカッター奈々ちゃん語りき


まほろびの魔法使いの加奈ちゃんと血を交換する赤い月の夜


今世紀最後の夜にすすり泣くこどもはげましゴン太くん去る


「うつくしく鼻血をだして散りなさい」妹たてぶえ振り下ろし


マイブームがマスターヨーダなんだってちっちゃいみどりちっちゃいみどり


ジャックより高くにいます、空豆が宙に浮くのよ無重力では!


ひつじたちオルゴールみたいにしてる午後の三時に柩を埋めた




短歌 ながれたそうめんあつめていった Copyright こもん 2008-04-12 13:21:19
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