創書日和【鳥】 凶鳥
大村 浩一

疎まれた鳥が飛ぶ。


三月。
ランゲンハーゲン。

いまさらどうにもなりはしないのに。


疎まれた鳥が飛ぶ。
横傾しながら。


冷気に翼を浸し、
思いつくままにかたちと速さを変え。

こんなにも自由自在でありながら、
行き場も飛ぶ理由も、
もう無い。


荒廃した市街がひろがる。
(緑あふれる街ならば
 なおさら彼の居場所は無い)


見えない糸を引いて飛ぶ。
聞こえない叫びを
星の黙す熱のように放ちながら、
疎まれた鳥が、
横傾しながら。


三月、
ランゲンハーゲン。

飛ぶことはあっても
もう還らない。


書く理由が見つからない。


初出 2000/02/09
改稿 2007/03/30

大村浩一


自由詩 創書日和【鳥】 凶鳥 Copyright 大村 浩一 2008-03-31 12:16:08
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