二十歳の契約
日野 タマ

とりあえず牙を折る
君の首すじ。から
きれいな血も流れなくなる

なにげなく生きていたら
いつのまにか1年が終わっていて
冷蔵庫の中の野菜は
鮮やかに腐敗していた

自分が許せなくなることばかり
ならピサの斜塔は倒れかかって
いる君の中で 空を貫こう
色鉛筆で好きに色づけしよう 塗り絵
塗り絵となんら変わらない生きていく

訪れたことのない
丘の上へのぼっていく
パノラマで映る壮大な人間の
社会
明日も晴れるかな
突風が吹くと
頬が少しだけ切り裂けた
そこから血がツツ…と零れてきた

これは僕の血
香り立つ草の上、春土の上へ
落ちゆけば
この世界と契約を交わそう
二十歳ハタチの契約

生きてゆく

生かされてゆく


自由詩 二十歳の契約 Copyright 日野 タマ 2008-03-25 10:15:43
notebook Home 戻る  過去 未来