適当な世界
ヨルノテガム




骸骨の運転する車を隣町へ走らせて
無人の街へ降り立ち、ひとり遊びに疲れると
電車に乗って帰って来、立ち食いソバなんかで済ます
その隣町もそのまた隣町も区別がつかない程
同じ様子で無人の賑やかさを保っている
また電車で帰ってくる
回送車に一人 わたしと思われる影が吊り革を握って立つ

無人立ち食いソバは完全セルフでも汁は温かに
蛇口から出てきた



骸骨の運転する車は
骸骨の運転する車と
骸骨の運転しそうなスピード同志で
すれ違う

対骨車の奴は金歯が一、二本光った



今日は野草を探しに車を山の方へ向かわせた
ネギが死ぬほど採れた
日が暮れて骸骨の運転手は何も言わずに
ソバ屋のあたりで車を止めた
ネギを車に置いたまま降り、
ソバ屋の蛇口をひねると
温かい汁がまた流れた 手ですくうと 
細かな刻みネギがもうすでに混ぜられている

さっきからずっと胃に穴があいていたが
そのまた隣りの蛇口からは
胃にやさしい薬が混ぜられている














自由詩 適当な世界 Copyright ヨルノテガム 2008-03-22 18:16:29
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