ゆっちゃりなひと
恋月 ぴの

なんだかこぎ疲れたから
ちょっと立ち止り休んでみる
無理してこがなくとも良いのだと
あなたは諭してくれたけど
途中でやめるなんてことできなくて

意固地になんかなっていないよ
こぎ続ける宿命を受け入れただけのこと

とことこペダルをこぎながら
空を見上げてみれば春の雲が足早に流れて行く

そんなに急いでどこまで行こうとしているのだろう

わたしの走る先は
遥か遠くって訳じゃないし
急いでいるって訳でもないから
ちょこちょこ休みながら
ゆっちゃり気分で

それだってこぎ続けることにかわり無いし

この上り坂を越えられたら
今度はもう少しゆっくりと休んでみたい
道ばたの切り株とかに腰掛けて
ずきずきする足首を労わってあげよう

やめちゃおうかな

そんな弱音は心地良すぎるから
しばし悲劇のヒロインになりきってみる
わたしって可哀想すぎる女だものね

よっこらしょ

こぎはじめのペダルは重すぎて
切り株から腰をあげたことに後悔したりするけど

それでもこぎだしてみれば
足早な春の雲には追いつかないにしても
暖かな風が背中に回りこんで
わたしをぐいっと押してくれる

りんりんりん

ゆっちゃり気分でどこまでも





自由詩 ゆっちゃりなひと Copyright 恋月 ぴの 2008-03-20 12:27:10
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