雨のセレモニー
銀猫

灯りを消して
毛布に包まりながら
朝、からいちばん遠い眠りについて
意識の上澄みに漂う

屋根を叩く雨は
僅かずつ肌に迫って
やがて水の中に
わたしを浸してゆく


雨音は
美しい調べに変わるでもなく
むしろセレモニーのように
時の振り子を動かしている

夜の底に沈む
春の密やかな声が
雨の糸を縫って
耳元に届く

目覚めの晴天を願いながら
雨音、を愛おしむ
ゆるされた矛盾


ついさっきまで舞い降りていた
無数の白い蝶は
木蓮の枝にまだ群れているだろうか

ぬるい雨水を含んだ桜は
薄紅のまどろみを
まだ隠したままだろうか

春に戯れ、


自由詩 雨のセレモニー Copyright 銀猫 2008-03-20 10:47:17
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