吠える針葉樹林
木屋 亞万

梢重なるアーケードにて
グリーンがスパークリング
幹は苔生すブラウニー
抹茶泡立つ粉末に
サクサク砕けざらめ糖
踏み締めてはならぬ足

酔いの帳が辺りを包み
歩く足元サクサクと
サクサクと割れ霜柱
空気を空から吸い込んだ
酸っぱい酸素と蜂の蜜
焦がすコークス
焦らすチーズ
パンパのパンは膨らんで
同郷のハムは生き生きと
熱帯雨への憧憬に浸る


冷たい所で爪を研ぐ
タイガは風に吠える
樹氷は傘下にのみ降る
ウオッカが呑みたい
胃が青く燃える酒を
香るズブロウカで
ずぶろくになってやろうか

甘党と辛党の両方だ
ノエルには燃えるし
濁酒には盲目の思い
どんな女も寄り付かない
氷の虎になりたかった

色んな所を旅した
すべて故郷ではなかった
遠くで輝くだけだ
探すは心に写る景色
尖る針葉樹に火を吹く虎
青い火を吹く白い虎
樹氷は空を目掛けて怒る
ある場所を探している


自由詩 吠える針葉樹林 Copyright 木屋 亞万 2008-02-25 16:00:08
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