始
城之崎二手次郎
一階に降りるエレベーターが突然止まった。青年と老女が閉じ込められた。青年は緊急連絡のボタンを押したが通じない。ふと二人の視線があった。背の高い青年と上品な老女。青年は、かなり年上の女性が好きだった。老女は青年に亡くした夫の影を見た。無意識に近づいていく二人。手が触れあおうかという時に揺れが来た。一階に着いていた。降りた二人は別の方向へ歩き出した。青年が振り返ると、老女が優しく見つめていた。
あとがき。
二〇〇字物語第二十六段。
散文(批評随筆小説等)
始
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城之崎二手次郎
2004-06-28 18:37:53
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