兎捕獲方法
マツモト





俺は兎を探している。

寝坊したので言い訳を考えながら道を歩いた
今頃はたぶん3校時目の途中だろう
肩かけ鞄の中で筆箱がガタゴト、ガタゴトと

何かが足に触れ
振り向くと少女が独り

兎だ そう俺の体内が叫んでいた

「貴方ほど赤が似合う人はいないわ。」
彼女の右手にはギチギチと折れてしまいそうな程強く
赤いクレヨンが握られていて
俺はひざまずいた それはもう決まっていた事のように
ゆっくりと ゆっくりと
アスファルトがゴリッと音をたてた
気にしている場合じゃない
だってそれは決められていた事だから

右頬に力強く「Y」と書かれた
消えるのを恐れているように何度も何度もなぞられ
太さはクレヨンと変わらない

俺は鞄についている「笹山レッド」の敵キャラ「スパゲリンダ」のキーホルダーを
手のひらにのせソイツの腹をグイグイ押した
3センチ程のカッターの刃が飛び出す
親指を切る
少女の右頬に「X」と
消えるのを恐れ太く、太く

書いた


私は兎を探している

それは決められた事のように
目の前の青年の制服をひっぱった


自由詩 兎捕獲方法 Copyright マツモト 2004-06-28 18:01:30
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