工場へ逃げる
合耕

強く握ってくびれた部分
思い出せない自分を思い出す
と それだけになってしまう
肩の後ろが持ち上がる

ペダルを漕いでまっすぐになる
間に合わない僕の目は何も持てず
少し余計に歩いてから
急に遠ざかる
間違って裏返しに貼った あなたの写真に
描かれた模様がすべて
塗り替えた空

どこにもいないはずの僕に
いつも どこででも見える
くびれた部分
どこにもいなくなったはずのあなたは
黒く浮かんだまま
工場へ逃げる

それまでのことだけが


自由詩 工場へ逃げる Copyright 合耕 2004-06-28 17:50:33
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