活字「うんこ」
餅月兎
うんこ
メモ用紙のすみに鉛筆で走り書き
それはただのうんこ
つまらないうんこ
活字のうんこ
活字でうんこ
それはちょっとした事件
活字「うんこ」は読むものの想像力によって翼を与えられ
あらゆるものに姿を変える
文字通り
うんこが活き活きとうごきだす
そしてわたしは馬鹿笑いする
いやしない
なぜならわたしはもう二十七歳だ
クスリと笑うだけだ
つまらない大人になってしまった自分を
ほろ苦くおもうかもしれない
十年後
いや五年後
うんこという活字に
クスリとも笑わず
つまらないおとなになった自分を
納得して受け容れるのだろうか
手書きのうんこと同じくメモ用紙におさまるのだろうか