電話
チアーヌ

遠くの方で
電話が鳴っている
わたしはベッドの下の
深いところまで潜って眠っているから
その音に気がついてはいるけれど

電話を取らなくちゃ
わたしはなんとか浮上して
電話を耳に当てる
それはわたしの声だ
呪文を唱えるわたしの声だ

それだけは聞きたくなかったのに
わたしは何度も電話を切ろうとするけれど
なぜか電話は切れない
気がつくと

電源が切れている電話を持ってわたしは叫んでいた
その叫び声も夢の中で響き渡っているだけで
わたしは叫んではいなかった


自由詩 電話 Copyright チアーヌ 2008-02-14 21:58:01
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