孤独の花
AKiHiCo

いつだって、独りきりで
帰り道は夕陽が優しく背中を
なぞって影を伸ばしている

道端に咲いた赤い花を
持って帰りましょう
母さんが、喜ぶはずだから
笑顔は想像出来ないけど
両手に抱えて帰りましょう

夕陽の温かさは母さんの幻影
を、背負って一歩ずつ進む
見えない鎖がまるであるかのよう
重たくて羽根のように軽い
近付く我が家に灯りはまだ
点って、いない

欲しいのは何だろう
望みは何だろう
母さんは花を受け取ると
ゴミ箱に投げ入れた
床に散らばる赤が悲しくて
でも、涙はここでは見せない

摘んだ花たちは母さんへの
願いであって望みであって、
一度きりでいいのに
頭を撫でてほしいだけ
なのに、それなのに

部屋の隅で思う
朝なんて来なければいいのに
時間なんて止まればいいのに
藍に染まる空は静かに
月を浮かべ部屋を照らす
青と黒のコントラルト

談笑する家族の声が小さく響く
僕は独りきりで、


自由詩 孤独の花 Copyright AKiHiCo 2008-01-31 05:41:43
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