忘れかけの公園のベンチで
霜天
街に忘れかけられた
公園のベンチに座って
西日の中の滑り台の上では
始まりかけた夏が
くるくると回っている
夜に向かっている
夕暮れの片隅で
ジャングルジムの天辺じゃ
出たがりの金星が
出番を待ってる
土の匂いがした
風の中の砂埃
毎日をその中で泳いだはずなのに
いつからか回らない僕の地球儀は
幼い夢を向いて止まってる
忘れ物をした教室の
そんな懐かしさが聞こえた
忘れかけの公園のベンチで
座り込んでは
腕時計の震える音にも気付かない
忘れ物をした僕の
寂しさがそこにはあった
忘れかけの公園の時計が
がちりと変わらない音を立てて
震えた