忘れかけの公園のベンチで
霜天

街に忘れかけられた
公園のベンチに座って
西日の中の滑り台の上では
始まりかけた夏が
くるくると回っている

夜に向かっている
夕暮れの片隅で
ジャングルジムの天辺じゃ
出たがりの金星が
出番を待ってる

土の匂いがした
風の中の砂埃
毎日をその中で泳いだはずなのに
いつからか回らない僕の地球儀は
幼い夢を向いて止まってる


忘れ物をした教室の
そんな懐かしさが聞こえた
忘れかけの公園のベンチで
座り込んでは
腕時計の震える音にも気付かない


忘れ物をした僕の
寂しさがそこにはあった
忘れかけの公園の時計が
がちりと変わらない音を立てて
震えた


自由詩 忘れかけの公園のベンチで Copyright 霜天 2004-06-24 01:43:34
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