かるいからだ
あおば

             080125




軽いから浮くのだと
信じていた
水の上の小舟
流されてたどり着いた
河口の三角州の街

軽いから飛ぶのだと
シャボン玉を躾けていた
集団遊びを習ったばかりの
幼稚園生になったとき

軽いから吹き飛ばされて
ジェット気流に乗り
地球の裏側にも届くのだと
風船爆弾を製造する女学生
鉢巻きを締めて頑張っている

絨毯爆撃された焼け野が原
大地がひっくり返っているが
みんなを亡くした工場跡で
掻き集めた部品で組み立てた
オート三輪を走らせる
バタコバタコとうるさい音を立てて
重たいものを運ぶのだと躾けられ
闇のガソリンを入れて
明るい明日を夢見て
おっかなびっくり
遠くへ走っていくのです



自由詩 かるいからだ Copyright あおば 2008-01-25 22:12:22
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