後姿
たもつ

 
郵便局の方から来ました
と言い残して校長先生は
ぼくの枕を盗っていった

庭ではぼくを産んで
その後育て続けた両親が
淋しい冬の作業をしている
三年前、僕の腕を
きれいな形だと褒めてくれた
今はまた
違う色の服を着ている

二階を開けると
大事そうに枕を抱えて郵便局の方に向かう
校長先生の後姿が見える
幸せ、は線路のように便利な言葉なのに
いつも線路のように見ているだけの気がする
もうすぐ交差点を渡れば
校長先生にも海の近さがわかる



自由詩 後姿 Copyright たもつ 2008-01-23 17:36:23
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