まぶた
湖月

いちばん最初の傷は眼だった
永遠に塞ぐことの許されないこの傷は
時々誰かを傷つける

瞬きを繰り返して
いつまでも乾くことのない
透明な血を絞り出し
傷は余計に広がった


目蓋のない動物は
息絶えたまま瞳を開いた動物は
その傷を塞ぐことなく死んでいくのか

傷も穴も癒えることのない体で
あとどのくらいここに居られるのか
目蓋のない生き物の恐ろしいことといったら


私の傷は眠りにのみ癒される


自由詩 まぶた Copyright 湖月 2008-01-23 15:31:13
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