■美味なるもの
千波 一也


■美味なるもの、について我が独断と偏見を。



一、

焼肉といえば、ホルモンである。
ホルモンを食わずして、なにが焼肉か。

「飲み込むタイミングがわからないんだよね。」
などと言い訳をする者がいる。
そんなもの、
私とてよくわからぬ、
おろか者。

焼き鳥ならば、砂肝がよい。
「ジャリ、っていうのがイヤなんだよね〜。」
などと意見をする者がいる。
鳥にあやまれ。
そして、
帰れ。



二、

そば湯を堪能することを覚えなさい。

ただし、勘違いしてはならぬ。
きみは、
めんつゆを味わっているだけではないか?

上質なそば湯は甘い。
めんつゆなど無くても十分にうまい。
まずは湯呑みなどに少量を注いでごらんなさい。
香るから。
そうしてきみを
招くから。

万が一、
単なる湯にしか感じられなければ、
そのそば屋には二度と行かなくてよろしい。
そば湯はそば屋の顔だ。
覚えておきなさい。



三、

きのこの山か、
たけのこの里か。

そんな選択肢などあり得ない。
まったくあり得ない。

答えは、たけのこの里だ。
あの、サクサク感の良さがわからんか。

きのこの山は、明らかにアンバランスだ。
チョコを食わせたいのか何なのかハッキリせぬ。
その点、たけのこはどうだ。
すばらしいハーモニーだ。



四、

カニは嫌いだ。

「北海道人はみんなカニが大好き!」
だとでも思っているのか。
浅はかな。

たとえ星座が蟹座であっても関係なし。
カニは嫌いだ。
匂いだけでうんざりする。

ただし、ウニとイクラはたいへん美味だ。
きみもたくさん食べるといい。



五、

豆乳を飲みなさい。

植物性の、
良質なタンパク質がきみを待っているぞ。

なに?
味が薄い?

普段から、
味の濃いものばかり食しているわけだな。
たわけ者。

はかなき味わいを、
逃がしてはならぬ。
とらえ、とらえて、楽しみなさい。

わかりやすさは素敵だが、
そればかりに慣れてしまっては世界が縮まるぞ。



六、

あんぱん、すなはち、こしあんだ。

つぶあんなど入れてみろ。
ただではおかぬ。

さりとて、
おしるこには粒あんだろう。
が、
こしあんも悪くない。

こしあんは超越しているのだ。
その集大成があんぱんだ。
わかったか。



七、

ライスカレー、などと
わけのわからぬ日本語をつくるな。

定着などさせぬ、
絶対に、させぬ。



八、

かぼちゃが甘くてなぜ悪い。

「かぼちゃって、甘くて不気味だよな」
「野菜のくせになんで甘いんだよ」

・・・・・
黙って聞いておればいい気になりおって。

否定的な見解について
同意など求めるな。

すこしくらい、品格をもて。
成人よ。







エセ・グルメによる、エセ・エッセイ。
これにて、完了。







おひまつぶし、になれば幸いです。

あくまで遊びゆえ、
お気楽に読み流してください。

では、また。
いつか散文で。









散文(批評随筆小説等) ■美味なるもの Copyright 千波 一也 2008-01-22 18:48:55
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