ふたつの手のひらを
使いこなせない昼下がり

耳を澄ませてわたしは
しずかに風を
遮断する


すべては
それとなく遠い気がして
けれども確証はなくて
言えずに続いた
 ....
 華やぎなさい、
 ささやきに


背中は砂なのでしょう
どうしたって、もう
無音でいられずに
並ぶのでしょう


嘘でも良いではありませんか
道なき道があなたです

そ ....
それなりの
背丈と重みとがあるわたしに
自動扉は開いてゆく

容易に
開いてくれることが
当然でなければならない、と
わたしもすっかり
慣れてしまって

背後で閉じられる
自動扉 ....
透明の底にあるものを
探せてはいない、ということを
探しているのだとおもう

それゆえわたしたちは
疑問の形をよそおいながらも
空に吹かれる日々を
なぞるのだろう

丁寧に、
さま ....
 もう、
 忘れてしまえないだろうわたしを置いて
 片耳うさぎよ
 にげなさい



どうして、
こんなにも寂しいというのに
深みにはまることを知ってきたのに

どうしても、 ....
くり返す波に
届かずじまいの手を思うとき
ようやくかぜを
聞いた気がした

この世にひとつの
具象のような


二本のあしで
すれ違えるものを
まちがえながら
ここにいる
 ....
おだやかな雨のすきまのファンタジア、合わせ鏡に時計を捨てて




お逃げなさい、鳥のかたちの切なさよ翼が翼を捨て去るまえに




細々と千切れて可憐な嘘ばかり燃やせやしない夕暮 ....
かじかむ理由は
雪ではないね

それは
雪のなかでこそ
探せるものだけれど

雪そのものは
寝ているだけだね



 てぶくろは
 つかのまの嘘だと思う

 夢だとか ....
肩を
すべり落ちてゆくものを
不可能なくらいに
拾い上げるから
忘れておけない
まなざしの青

つないで
必死につないで
自分の口から出た言葉が
たとえ終わりを決めるもので ....
わたしのなかでは
きえない、ゆき

きこえないことば、には
あふれるくらいに
ふれているのに

ふるえています
たしかさを

ましてゆく、ような
かさのなか

みずか ....
 そっと
 手のなかで砕けてゆくものを
 花、と呼びます



透きとおる風に
聴きそびれた使いを
そのみちを

ためらいながらも、
懐かしむように
かばうように

 ....
にぎやかな街を生むものは
孤独なのだと思います

ひとりぼっちで
とても寒かったあの日
逃げる、という行いそのものに
迷い込んでしまったあの日
わたしが覚えたものは
背中だったと思 ....
たくさんの淋しさは
胸の奥でそっと
優しさになる

それは
くわしく語らなくても
しみ渡ってゆくように思い
いつしかやわらかく
言葉のあやから
遠ざかる


おびえてし ....
■美味なるもの、について我が独断と偏見を。



一、

焼肉といえば、ホルモンである。
ホルモンを食わずして、なにが焼肉か。

「飲み込むタイミングがわからないんだよね。 ....
わたしを
離れない嘘たちが、ある

それはかならずしも
苦しみではないゆえに
より果てしなく
むしばむ、
わたし


どこをどうすれば
間違えてきたものを正せるだろうか、 ....
えらばれた場所でだけ
かなう願いを

託して
しまいたい



分けられてなお
うつくしいものも
きっと、ある

降る雨の
そのずっと奥のほうで

飾りをえら ....
きみのバスが遠ざかり
ぼくはちぎれて
半分になる


照れくさいぼくを
きみが思い出すとき
薄闇はきっと匂うから

けなげに告げよう
離れた場所で
あすの名を


 ....
{引用=


一 ゆらゆら、尾ひれ



  いい匂いがしたもので
  いい気になって
  追いかけて

  できないことは
  どこにもない、と
  一目散に
  忘れも ....
 満月が
 飽和してゆく


そっと
するどい涼しさは
船乗りだけの
うろこです

ただ一言でかばわれて
消え入ろうにも
悔やまれて

丸みを帯びた
涙の甘さに
 ....
あの日を
あの日、と呼ぶことは
思いも寄らないことだろう
あの日の
僕には



時は
流れてゆくものだと思う
追い越せないことは
確かだけれど、
離れ過ぎずに
ちょ ....
海が眠る
その貝殻を
ためらいもなく
拾い上げて

ひとは口々に
語り始めるだろう
春を

春のための春、に
何をも待たず

つとめて実直に
見失うだろう ....
きみの言葉の行く先を
わたしはひとつに
収めてしまう


 無限に広がりそうな
 孤独の定義の
 予感に
 おびえて



きみの言葉に
息づくものと息づかないもの

 ....
 理由はありません、っていう理由について
 もう少しやさしくあれたら、
 と思うんだ





さびしい時刻が生え出したのは
ぼくの、背骨を笑う
星のした

だ ....
わたしの肩が
知らず知らずに
雪を溶かす、ということ

それは
もしかすると
物語ることを知らない
ほんとうの物語


容易には
何事も信じないけれど
疑うとなれば
 ....
夜を、
わたしの、夜を、
誰かがたやすく追い越して
ちがう、
誰か、は、
待ちぶせる



かけら、
手のひら、かけ、ら、
わたしの言葉は瞳を閉じ、て
もうじき嘘になる ....
水晶を砕いてください船底でふゆの花びらかくまうように






捨ておいた言葉に幾度も拾われて星座のたもと鋭角を知る


閉じかけた波音の日がよみがえる月の鏡の無言を浴び ....
運ばれてゆく
ものがたりについて
ずっと聴けずにいたことを
ようやく受け取ったのは
はやすぎた夏、の
たてがみ辺りの
なごり風


 眠る、ということが
 どれほどの守りで ....
くじらはどこかと
島が問う

空をよこぎる鳥の背中も
きっとだれかは
島と呼ぶから
雨は
もうじき
降るだろう


 あまつぶは
 ふね

 乗るも乗らぬも
 う ....
水色のそらを眺めていると
水ではないのに水であるような
或いは逆でも済むような
忘れものの気楽さを
ひとつふたつと
思い出す


 降るものは
 雨なのだろうか

 不思議そ ....
つなぎ忘れた何かを探そうとして
それすら不意に
忘れてしまう

星空は
いつでもその名を受け取りながら
毎夜を必ず終えさせる地図

瞳がうつす一瞬を
嘘かと惑い
ときには真逆に ....
千波 一也(758)
タイトル カテゴリ Point 日付
青い鳥自由詩26*08/2/3 11:45
盲目[group]自由詩4*08/2/2 21:21
自動扉自由詩4*08/2/2 17:55
透明の底自由詩8*08/1/30 21:49
片耳うさぎ自由詩6*08/1/29 21:44
かなしみ沿岸自由詩8*08/1/29 20:46
◆幻想連鎖[group]短歌5*08/1/27 23:25
白い冬自由詩10*08/1/27 11:21
睦月橋[group]自由詩6*08/1/26 21:28
ゆきうらない自由詩5*08/1/25 23:00
水の蕾[group]自由詩10*08/1/25 21:25
にぎやかな街自由詩6*08/1/23 0:43
粒子[group]自由詩6*08/1/22 23:00
■美味なるもの[group]散文(批評 ...4*08/1/22 18:48
わたしを離れない嘘たち自由詩5*08/1/21 23:52
金星雨自由詩6*08/1/21 20:28
ばいばい、がーる[group]自由詩6*08/1/16 23:31
小詩集【にゃお。】[group]自由詩7*08/1/15 22:15
銀食器[group]自由詩9*08/1/10 15:55
河口自由詩7*08/1/8 22:24
自由詩5+*08/1/8 0:08
閉じてゆく言葉[group]自由詩7*08/1/7 0:57
真夜中しっぽ自由詩20*07/12/28 0:11
サイレント・スノウ[group]自由詩10*07/12/27 22:33
オセロ[group]自由詩9*07/12/13 22:43
◆ふゆの花びら[group]短歌19*07/12/9 11:31
七月のかなた[group]自由詩18*07/12/8 22:25
孤独自由詩8*07/12/3 22:45
水色のそら自由詩8*07/12/2 17:45
ステラ自由詩13*07/10/26 11:48

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