oink oink
紀ノ川つかさ

朝の電車につめ込まれ
 私達豚は
  割と可愛らしく鳴きます
   oink oink

たまの夏日
 節電のために抑えられた冷房
  蒸気の飛び交う車内
   暑苦しくスーツを着込んだ私達は
    それでもせいいっぱい
     可愛らしく鳴くのです
      oink oink

勝ち組と負け組に
 くっきり分けようとする世の中では
  せめて可愛らしく
   生きて
    似合わずとも
     可愛らしく
      生きて
       その非情さを忘れるしかない
        oink oink

oink oink
ぶうぶうとは鳴きたくない
oink oink
ぴいぴいとは鳴きたくない

この車両が檻に見えても
 仕出し弁当が餌に見えても
  自分の体にほどよく脂が乗って
   「食べごろ」であっても
  空を見上げ
     可愛らしく鳴くのです
      oink oink

真上よりもう少し
太陽が傾いているようです
もう午後ですね


自由詩 oink oink Copyright 紀ノ川つかさ 2003-09-02 23:26:09
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