夜光虫
望月 ゆき

前も後ろも
音はなく
深く深く まで
たどりつきそうになる

手や足や
髪の一本一本が
光る砂を撒き散らしては
まぼろし

忘れたように見えることと
忘れたこととは
ちがった

気づかない合図も
しかたのないこと。
とはいえ
あなただけは

深く深い場所で
手招きをしても
夜光虫の舞。

知ってか知らずか




自由詩 夜光虫 Copyright 望月 ゆき 2004-06-21 23:08:55
notebook Home 戻る