普賢菩薩と桜
アハウ

竹 光る 竹林

奥深く 
開けた場所

みみを澄ますと 聴こえ始める
大白法の 南無妙法蓮華経

なな色の虹の天蓋に つつまれて

美少の少年 結跏趺坐し
お祈り 申し上げます

竹 光る 竹林

黄金の華光 やわらかに 発し
蝉の胸のように共鳴し 
ひたむきに せいじつに
金波の波動 波のように染み渡り
この竹林から こぼれ こぼれ 漏れ伝う


一尾のにょしょう土蜘蛛 呼ばわれた如く
暗く湿った巣穴より 這い出て
普賢菩薩の右腕に取り付く
愛寂 示すその姿に
気 乱るるも
親愛の情 湧いて
彼 にょしょう土蜘蛛の体に入る

暗く 取り留めのない 闇
重い 下に引き込む 力

普賢 空中浮揚し
大白法のマントラ 南無妙法蓮華経 唱えつつ

土蜘蛛の体 にょしょうの体 表出し
ミシンで縫うように
白光をその体に当てる

時は永遠 空間に

見る間に にょしよう へんげ
黄金に輝く 
正座の勢至菩薩へとメタモルフォーゼ
唱題 三昧に入られて

毛深き土蜘蛛
ぱっかと体割れ
遺骸 亡骸から
白靄立ち現れて
みるみる体 成す 
十体の神々 出体し
白線陰画の生命体
普賢菩薩に礼をする

一部始終を見ていた
このはなさくやひめ

菩薩と永久の愛を誓った
このはなさくやひめ

彼の結跏趺坐に自らの幽体を重ねあわす
古木の桜木 現れる

竹林の奥深く 開けた所
南無妙法蓮華経の黄金の波動

結跏趺坐する普賢菩薩
重なり合うこのはなさくやひめ
正座し三昧境の勢至菩薩

礼拝する神々

水鏡に空中浮揚して

その水辺に
古木の桜 咲く


自由詩 普賢菩薩と桜 Copyright アハウ 2008-01-15 17:00:32
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